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ヒョーソンが挑むバイオ素材の産業化:スパンデックスを変える「バイオBDO」

韓国ヒョーソンが手がけるバイオ由来素材の量産戦略。衣料の原点、スパンデックスを環境配慮型へと転換させるバイオBDOの実力を探る。

公開日時: 2026年8月24日 7:07 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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バイオ素材へのシフトが急務となるファッション業界

地球環境への意識が高まる中、ファッション業界は素材の持続可能性を大きく迫られています。石油由来の合成繊維は、その製造過程で大量のCO2を排出し、廃棄時にはマイクロプラスチック問題も懸念されます。そんな中、再生可能なバイオマスを原料とする「バイオ素材」が注目を集めています。

世界に先駆けるヒョーソンの挑戦

韓国の化学・繊維大手ヒョーソン(Hyosung)は、スパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)の世界的メーカーとして知られています。そのヒョーソンが、バイオ素材の工業化に本格的に乗り出しました。同社は、アジアを中心に生産拠点を拡大しながら、環境負荷の少ないバイオ由来の原料を自在に操る技術を開発。とりわけ注目されるのが「バイオBDO(1,4-ブタンジオール)」です。

バイオBDOとは何か

BDOはスパンデックスやエンジニアリングプラスチックなどの原料となる重要な化学物質です。従来は石油を化学合成して作られていましたが、ヒョーソンは微生物の発酵プロセスを活用し、サトウキビやトウモロコシなどの植物由来の糖を原料とするバイオBDOを生産します。このプロセスでは、石油に頼らず、植物が大気中から吸収したCO2を再利用するため、カーボンフットプリントを大幅に削減できます。

産業規模での実現

ヒョーソンの強みは、ラボ段階の技術を実際の生産ラインに載せる産業化のノウハウにあります。同社はバイオテクノロジー企業との提携を進め、大規模発酵設備を持つ生産拠点をタイやベトナムに構築。世界最高水準となる年間20万トン規模のバイオBDO生産体制を整えつつあります。この生産量は、世界のスパンデックス市場の相当なシェアをカバーするレベルで、まさに「産業の規模」で環境対応を実現するものです。

品質と持続可能性の両立

バイオ素材は、従来の石油由来品と比べてコストが高いという課題があります。しかしヒョーソンは、バイオBDOを原料としたスパンデックス「クレオラ バイオ」の開発により、品質と性能は従来品と遜色ないことを実証しました。さらに、国際的な認証であるISCC(国際持続可能性カーボン認証)を取得し、トレーサビリティの面でも信頼を築いています。

アパレルブランドとの連携

バイオ由来のスパンデックスは、スポーツウェアやファッション衣料に活用され始めています。環境意識の高い欧米のアパレルブランドを中心に、エコ素材としての採用が進んでいます。ヒョーソンは、ブランド各社とともに、サステナビリティを訴求する商品づくりを支援しているのです。

持続可能な未来への展望

ヒョーソンは、今後もバイオ素材の生産能力を拡大し、カーボンニュートラルを目指す方針です。また、BDOをスパンデックス以外の素材にも展開することで、化学産業全体の脱石油化を後押しする可能性があります。日本市場においても、こうした技術は環境対応の選択肢として重要性を増していくでしょう。バイオ素材の産業化は、単なるトレンドではなく、持続可能な社会への確かな一歩です。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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