令和8年度 中小企業診断士1次試験「中小企業経営・政策」速報分析:努力が実を結ぶ「標準問題」の攻略が合否を分けた
2日間にわたる過酷な試験を戦い抜いた受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。今は何よりもまず、今日まで積み重ねてきた自分自身の努力を最大限に褒めてあげてください。
公開日時: 2026年8月23日 5:16 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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1. はじめに:受験生の健闘を讃えて
2日間にわたる過酷な試験を戦い抜いた受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。今は何よりもまず、今日まで積み重ねてきた自分自身の努力を最大限に褒めてあげてください。
試験直後は、手応えに一喜一憂し、心身ともに疲弊していることと思います。しかし、この大きな挑戦に立ち向かい、最後まで走り抜けたという事実こそが、皆様の人生における貴重な財産です。まずはゆっくりと心と体を休め、自分を労わってあげてください。皆様のこれまでの歩みに、心からの敬意を表します。
2. 全体傾向:Dランク(捨て問)なし!「基礎力」が勝敗を決めた年
今年度の「中小企業経営・政策」を総括すると、例年稀に見る「努力が正当に報われる年」であったと言えます。特筆すべきは、受験生が全く手を出せないような「Dランク(捨て問)」が1問も存在しなかったことです。
難易度別の内訳は以下の通りです。
- **Aランク(絶対落とせない基礎問題)**:16問(全体の約50%)
- **Bランク(合否を分ける標準問題)**:13問
- **Cランク(やや難易度が高い問題)**:3問
- **Dランク(捨て問)**:0問
全体の約半分がAランク、さらにBランクを合わせると9割近くが「準備していれば解ける問題」で構成されていました。テキストの基本事項を忠実に学習し、基礎を固めてきた人が着実に得点を積み上げられたはずです。まさに「基礎力の徹底」が合否を分けた、王道の試験内容でした。
3. 「中小企業経営」の注目トピック:白書統計から見える現状
「中小企業経営」パート(第1問〜第18問)では、中小企業白書の統計に基づいた現状把握が問われました。単なる暗記ではなく、その背景にある「理由」を理解していたかがポイントです。
- **付加価値額の割合(第1問)**:中小企業の存在感は依然として大きく、付加価値額の割合は約56%、従業員数割合は約70%という基本数値が出題されました。
- **業種別の特徴(第2問)**:小規模企業の割合について、卸売業は「スケールメリット」が重要となる業態であるため、他の業種に比べて小規模企業の割合が少ないという特徴が問われました。
- **借入金依存度(第5問)**:宿泊・飲食サービス業は、ホテルや店舗などの建設に伴う多額の設備投資が必要なため、借入金依存度が非常に高い傾向にあります。
- **労働力の変化(第6問)**:15歳から64歳の女性の正規雇用者が増加傾向にあるなど、労働市場における女性の活躍が統計にも表れています。
- **デジタル化の進展(第8問)**:段階別の取り組みでは、ペーパーレス化(段階2)は進んでいるものの、データ分析(段階3)やビジネスモデルの変革(段階4)まで到達している企業はまだ少数である実態が示されました。
- **価格交渉・価格転嫁(第16問)**:現代の最重要テーマです。ここでは「発注元からの距離」が焦点となりました。1次請けに比べ、3次請けなど発注元から遠くなるほど、価格転嫁を言い出しにくくなる構造的な課題が反映されています。
4. 「中小企業政策」の注目トピック:新制度とトレンドの的中
「政策」パートはAランクが12問と非常に多く、得点源にすべき内容でした。特に講師が「出る」と強調していた最新トレンドが、ズバリ的中した形となりました。
> フリーランス保護新法(特定受託事業者併用適正化法)
> 今年1月に施行されたばかりのこの法律は、事前の予告通り、なんと3問も出題されました。一方的な代金決定の禁止など、受託側の権利を守る規定は、今後の診断士活動でも必須の知識です。
- **事業承継・M&A補助金**:最新の政策意図である「賃上げ」との連動が問われました。一定の賃上げ実施により補助上限が引き上げられますが、ここで注意すべきは**「賃上げ要件が未達の場合、補助金の全額返還を求められる」**という厳格なペナルティがある点です。
- **100億円企業(成長企業)への投資**:売上高10億円以上100億円未満の企業をターゲットにした「成長加速化支援」が出題されました。次世代の成長エンジンを育てる国の姿勢が明確になっています。
- **SBIR制度とものづくり補助金**:職場環境改善の取り組みとして、**「両立支援のひろば」**への登録や一般事業主行動計画の公表が補助金採択に有利に働くといった、実務的なトレンドが問われました。
5. 講師からのアドバイス:試験後のアクションプラン
試験を終えた今、皆様が次にとるべき行動は明確です。
- **少しでも「合格の可能性がある」と感じた方へ**
自己採点の結果、あるいは直感で「行けそうだ」と感じたら、今日からすぐに2次試験の準備を開始してください。1次から2次までの期間は驚くほど短いです。この数日のスタートダッシュが、最終的な合格を左右します。
- **思うような結果が出なかった方へ**
今回の結果を「失敗」と捉えないでください。今年の結果が示す通り、基礎を積み上げれば必ず得点できる試験です。今回の挑戦で得た知識は、来年の合格に向けた揺るぎない土台になります。今は少し休んでから、今回の経験を糧に次の一歩を考えましょう。
6. 結びに:今、この瞬間に挑める幸福を噛み締めて
私(中村)には、忘れられない記憶があります。2016年の熊本震災のとき、私は実家のある熊本で被災しました。当時はまさに、私が中小企業診断士を目指して勉強を始めたばかりの頃でした。
周囲が瓦礫に包まれ、誰もが明日をも知れぬ不安の中にいたとき、私は「こんな大変な時に、自分だけ勉強をしていていいのか」という激しい葛藤に襲われました。しかし、その時感じたのは「今、自分にできることは目の前の課題に挑むことだけだ」という強い思いでした。
世の中には、震災や不測の事態によって、試験を受けたくても受けられなかった人々が数多くいます。今回、皆様が会場に足を運び、試験という真剣勝負の舞台に立てたこと。それ自体が、実は非常に幸運で、尊いことなのです。
このチャンスを得て、全力で戦い抜いた自分自身を、どうか誇りに思ってください。「試験を受けられた幸福」を胸に、明日からまた新たな一歩を踏み出されることを、心より応援しております。皆様の未来は、ここからさらに大きく広がっていくはずです。
Full stack 技術者