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規制する側が規制される側の味方に? 米FCC委員が自機関提訴を支持する理由

ウォルト・ディズニー社がFCCを相手取った訴訟で、FCC委員のアンナ・ゴメス氏がディズニー側を支持。規制機関の政治的中立性と表現の自由を守るための「勇気ある提訴」を、彼女はどう受け止めたのか。

公開日時: 2026年8月20日 7:03 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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自らの所属機関を相手取った訴訟、なぜ委員が支持するのか

2026年8月、ウォルト・ディズニー社が米連邦通信委員会(FCC)を相手取り提訴した。ディズニー傘下のABC放送の放送免許更新を巡り、FCCが政治的な圧力をかけているのは憲法修正第1条(表現の自由)に違反する、というのがその主張だ。

この訴訟に対し、FCCの委員であり唯一の民主党系委員であるアンナ・ゴメス氏が、まさかの「ディズニー側を支持する」と表明した。なぜ規制する側の人間が、自らの機関を訴える企業を擁護するのか。ゴメス氏の考えをNPRのインタビューで掘り下げた。

FCCとは何か、そしてなぜ免許更新が問題なのか

FCCは米国の通信・放送・メディアを規制する独立行政機関だ。テレビ局やラジオ局は、FCCから放送免許(ブロードキャスト・ライセンス)を取得して初めて放送を行える。この免許には期限があり、更新の際にはFCCの審査を受ける。

今回の争点は、ディズニー傘下のABCが保有する放送局の免許更新を巡り、FCCが政治的意図を持って関与しているのではないか、という点だ。ディズニー側は「FCCが特定の政治的压力に基づいて免許更新を妨害・遅延させている」と主張している。

ゴメス氏はこの問題を「独立規制機関の信頼性に関わる重大な問題だ」と指摘する。「規制機関が政治的恣意性に基づいて動くならば、民主主義の根幹を揺るがします」と彼女は語る。

「ディズニーは勇気を取り戻した」

ゴメス氏は、ディズニーが今回の訴訟を起こしたことを「ディズニーは勇気を取り戻した」と表現した。これは「巨大メディア企業が、権力を持つ規制機関に対して異議を唱えることは政治的・経済的に大きなコストを伴う。それでもなお、法の支配を守るために立ち上がった」という意味だ。

日本では総務省が放送免許を所管しているが、実際に免許更新が拒否されることはほとんどなく、政治的圧力がかかるという想定はあまり一般的ではない。しかし米国では、放送免許は政治的・社会的な対立の焦点になりやすい。例えばトランプ政権期には、政権に批判的な放送局の免許更新が問題視されたこともある。

ゴメス氏は、米国の現状を「規制機関が政府の一部となったとき、企業は自己防衛として訴訟を選ぶ。これは健全なことだ」と述べる。また「私自身はFCCの一員だが、機関の行動が憲法に反している可能性があるなら、それを是正するのは私の責務でもある」と語った。

規制と表現の自由のバランス

この訴訟は、規制権限と表現の自由の境界線を改めて問いかけるものだ。放送免許制度は、電波という公共資源を管理するために存在する。しかしその管理が政府の意図に左右されるならば、メディアの自律性は損なわれる。

ゴメス氏の立場は、規制当局の内部にも、権力の行使に対して警鐘を鳴らす人々がいることを示している。彼女は言う。「規制は市民の利益のためにあるべきです。権力者の利益のためにあってはならない」

ディズニーとFCCの訴訟は今後どのように展開するのか。この裁判の行方は米国のメディア規制の未来を左右するかもしれない。そしてそれは、日本を含む世界中のメディア規制にとっても、無視できない問題となるだろう。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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