元SpaceXエンジニアが22億円調達、ロケットエンジン技術で地熱発電に挑む
元SpaceXエンジニアが立ち上げたCritical Energyが2200万ドルを調達。ロケットエンジン技術を応用した地熱発電で、2045年までに年間300GWの容量を目指す。
公開日時: 2026年6月18日 7:12 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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ロケットエンジンが地熱発電所に?元SpaceXメンバーが立ち上げたスタートアップの野望
米国発のスタートアップ「Critical Energy」が、シードラウンドで2200万ドル(約22億円)を調達した。同社は、ロケットエンジン技術を応用した革新的な地熱発電システムを開発している。資金調達ラウンドを主導したのはSusa VenturesとUpfront Venturesで、その他にも複数の投資家が参加した。
Critical Energyの創業者兼CEOであるジェイク・マクレガーは、元SpaceXのエンジニア。彼は、ロケットエンジンの燃焼技術を地熱掘削に転用することで、従来の地熱発電の課題を解決しようとしている。地熱発電は再生可能エネルギーの中でも安定した出力が期待できるが、初期コストの高さや適地の限界が普及の障壁となっていた。Critical Energyの技術は、ロケットエンジンのような高温・高圧の環境に耐える素材や、効率的な熱交換システムを活用し、より深部の地熱資源を低コストで利用可能にするという。
同社は、2030年までに実証プラントを稼働させ、2045年までに年間300ギガワットの地熱発電容量を建設する目標を掲げている。これは、現在の世界の地熱発電容量(約15ギガワット)の20倍に相当する規模だ。マクレガーCEOは「ロケット技術は過酷な環境で最適化されてきた。その知見を地球のエネルギー問題に応用する時が来た」とコメントしている。
地熱発電市場は、気候変動対策の一環として注目を集めており、米国エネルギー省も地熱技術の研究開発に積極的に投資している。Critical Energyのようなスタートアップの登場は、再生可能エネルギー分野におけるイノベーションの加速を示唆している。
ロケット技術の転用:既存の地熱発電との違い
従来の地熱発電は、地下の高温岩体に水を注入し、発生した蒸気でタービンを回す方式が主流だ。しかし、この方式は水の使用量が多く、地層の透水性に依存するため、適地が限られる。一方、Critical Energyのアプローチは、ロケットエンジンの「閉サイクル燃焼」技術を応用し、密閉されたシステム内で熱媒体を循環させる。これにより、水の使用量を大幅に削減し、より深部の高温岩体(摂氏300度以上)から効率的に熱を抽出できる。
また、同社は掘削技術にも革新をもたらす。ロケットエンジンで培った高圧燃焼技術を利用し、従来の機械式掘削よりも高速かつ低コストで地中深くまで到達できる「熱掘削」技術を開発中だ。これは、米国エネルギー省の支援を受けた研究プロジェクトの一環でもある。
資金調達の背景と今後の展望
今回のシードラウンドには、既存投資家に加え、気候変動関連のインパクト投資ファンドも参加した。Critical Energyは調達した資金を、実証プラントの建設とエンジニアリングチームの拡大に充てる計画だ。同社は現在、米国西部の地熱有望地域でサイト選定を進めており、2028年までに最初の商業プラントの運転開始を目指している。
Susa Venturesのパートナーは「Critical Energyの技術は、地熱発電のコスト構造を根本的に変える可能性がある。ロケットエンジンという異分野の技術をエネルギーに応用する発想が素晴らしい」と評価する。一方、業界関係者からは「技術的な実証はまだこれから」との声もあり、今後の成果が注目される。
日本でも地熱発電への関心が高まっている。日本は世界有数の地熱資源国だが、開発コストや温泉事業者との調整など課題が多い。Critical Energyの技術が実用化されれば、日本の地熱開発にも新たな道を開く可能性がある。
Full stack 技術者