日経平均はなぜ上がり続けるのか?「値下げしない日本企業」が株価を押し上げる強気のカラクリ
現在、エネルギー市場では一つの大きな転換が起きています。一時期は1バレル80ドル台で推移していた原油価格が、足元では70ドル台へと明確に下落してきました。中東情勢の緊迫化を背景にした高騰局面は、一旦の落ち着きを見せつつあります。
公開日時: 2026年6月23日 5:09 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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1. 導入:原油安でも下がらない「あの商品」の価格
現在、エネルギー市場では一つの大きな転換が起きています。一時期は1バレル80ドル台で推移していた原油価格が、足元では70ドル台へと明確に下落してきました。中東情勢の緊迫化を背景にした高騰局面は、一旦の落ち着きを見せつつあります。
しかし、私たちの生活を見渡して、何か違和感を覚えませんか?原油高を理由に値上げされた「ラーメン」や日用品の価格が、コスト安に合わせて下がったという話は、どこを探しても聞こえてきません。
実は、この「コストが下がっても販売価格は維持される」という一見不条理な現象こそが、株式市場にとっては極めて強力な上昇エンジンとなります。世の「バブル懸念論者」が見落としている、日経平均を押し上げる真のカラクリを、専門家の視点から解き明かしていきましょう。
2. コストプッシュ・インフレの後に来る「利益爆食期」の構造
なぜ、コストが下がっても価格は据え置かれるのか。そこには日本企業の極めて打算的、かつ合理的な行動原理が隠されています。
「大義名分」という名の値上げラッシュ
この半年から1年、日本企業はエネルギー価格の高騰や中東情勢の不安定化を「大義名分」として、一斉に値上げを断行しました。消費者は「燃料費が高いなら仕方ない」とそれを受け入れてきたわけですが、ここがポイントです。原油価格が今後、紛争前と同水準の60ドル台へ回帰したとして、企業は果たして値下げをするでしょうか?
断言しますが、彼らは絶対に値下げしません。 一度市場に浸透し、消費者が慣れてしまった価格を自ら引き下げる動機など、営利企業には存在しないからです。
コスト低下がそのまま純利に化ける「マジック」
原材料価格(ナフサ等)や原油価格の下落により、企業の製造・輸送コストは劇的に改善します。一方で、インフレ下で定着した高い販売価格は維持される。この「価格とコストの差分(デルタ)」は、そっくりそのまま企業の営業利益へと直結します。
- **コスト面:** 原油・ナフサ等の原料安による支出の激減。
- **売上面:** 「インフレ価格」という高単価の維持。
このタイムラグによって生じる利益の急拡大こそが、今の日本市場が迎えている「利益爆食期」の正体です。投資の観点から言えば、「コストは下がったが、高単価だけが残る」という、株主にとってこれ以上ないほど美味しい状況が到来しているのです。
3. 日経平均7万円も夢ではない?EPS(一株利益)から見る妥当性
市場では「日経平均4万円台はバブルだ」と騒ぐ声も散見されますが、本質を見抜くアナリストは別の指標を見ています。それは、株価の絶対的な根拠となるEPS(一株当たり利益)です。
バブル論者が無視する「EPSの底上げ」
「株価 = EPS × PER(株価収益率)」という基本式に当てはめれば、今の上昇がいかに健全かが分かります。現在の株価上昇は、投資家の期待感だけで膨らむPERの拡大(バブル)ではなく、企業の稼ぐ力そのものであるEPSの成長に裏打ちされています。
前述した「コスト安×価格維持」の構造により、企業利益が劇的に増幅されれば、日経平均全体のEPSは自ずと押し上げられます。ここで重要なのは、「EPSが2倍になれば、株価が2倍の7万円になったとしても、PER(割安・割高の指標)は全く上がらない」という算術的な事実です。
つまり、日経平均7万円という数字は、決して実体のない熱狂ではありません。企業の利益構造が変化し、稼ぐ力が底上げされた結果として導き出される、極めてロジカルな帰結なのです。現在の日本株は、指数が上がってもなお「中身が伴っているため割高ではない」という、稀有な強気相場の渦中にあります。
4. 結論:投資家が認識すべき「インフレの真実」と今後の展望
今の日本市場で起きているのは、単なる一時的なリバウンドではなく、企業の利益構造そのものの「地殻変動」です。投資家として、以下の3点を肝に銘じておくべきでしょう。
1. 価格の硬直性を味方につける: 企業は一度上げた価格を下げない。「コスト安+高単価」の構図は中長期的に続く。
2. EPS成長が相場の主役: 日経平均の上昇は、期待(PER)ではなく実利(EPS)に支えられており、崩れにくい。
3. ナフサ等の原料価格を注視せよ: 工業原料の価格下落は、製造業大国である日本企業の利益を劇的に押し上げるトリガーとなる。
インフレは消費者の財布を圧迫しますが、裏を返せば企業利益が構造的に拡大する千載一遇のチャンスでもあります。「株にとって最も美味しい局面」は、今まさに始まったばかりなのです。この強気の潮流を冷静に見極め、実利を享受する姿勢こそが、賢明な投資家への道と言えるでしょう。
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