米IRSの職員削減で税収回収が減少—監査体制の縮小が裏目に
米IRSが監査スタッフを削減した結果、税務執行による税収回収額が激減したと監察総監室の報告書が示した。財政への影響と今後の課題を解説する。
公開日時: 2026年9月5日 7:01 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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監査官削減が招いた税収減少
米国の税務当局である内国歳入庁(IRS)が昨年、監査スタッフを大幅に削減した結果、税務執行による税収回収額が急減したことが、監察総監室の報告書で明らかになった。職員削減は歳出削減の一環として行われたが、その影響は財政にとって逆効果となっているようだ。
執行活動の縮小と回収額の激減
報告書によると、IRSは昨年度、高額所得者や大口法人への税務調査を担う職員を削減した。これに伴い、追徴税額や延滞税、罰金などの執行ベースでの回収額は前年度比で数十億ドル単位で減少したとみられる。IRSは本来、税収を確保するための執行機能を担っており、職員削減は税務コンプライアンスの低下を招く恐れがある。
「税格差」拡大への懸念
米国では、申告された税額と実際に徴収される税額の差である「税格差」が毎年数千億ドルに上るとされる。監査体制の縮小は、この格差をさらに拡大させる可能性がある。特に、複雑な取引や海外資産を利用した租税回避が指摘される富裕層や大企業への監査が手薄になることで、税負担の不公平感が強まることも懸念されている。
財政再建への逆風
バイデン政権下では、インフレ抑制法に基づいてIRSに800億ドル規模の追加予算が投じられ、監査強化や顧客サービス改善が進められてきた。しかし、その後成立した債務上限関連法により予算の一部が削減され、今回の人員削減につながった。税収は連邦政府の主要な収入源であり、その回収効率の低下は財政赤字の拡大や公共サービスへの悪影響が懸念される。
専門家の見方と今後の課題
税制専門家は、IRSの職員削減が短期的な歳出削減効果よりも、長期的な税収減少による悪影響の方が大きいと指摘する。また、税務申告の複雑さを減らし、納税者が自発的に申告しやすい環境を整えることの重要性も強調する。IRSが今後、人員を再び増強するかどうか、また税務執行の効率化をどう進めるかが、米国の財政健全性を左右する鍵となるだろう。
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