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【UI UX Camp! 2025】AI時代に「デザイナーの仕事の9割」はなくなるのか?深津貴之氏が語る新たな役割と生存戦略

「UI UX Camp! 2025」の最終セッション。オンライン登壇となったザギルドの深津貴之氏は、冒頭から会場に「ざわざわ」とした胸騒ぎを巻き起こしました。それは、多くのデザイナーが心の奥底で感じていた不安と、まだ見ぬ未来への興奮が入り混じった、ポジティブな混乱です。

公開日時: 2026年9月4日 5:15 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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「UI UX Camp! 2025」の最終セッション。オンライン登壇となったザギルドの深津貴之氏は、冒頭から会場に「ざわざわ」とした胸騒ぎを巻き起こしました。それは、多くのデザイナーが心の奥底で感じていた不安と、まだ見ぬ未来への興奮が入り混じった、ポジティブな混乱です。

「ぶっちゃけ、今皆さんがやっている仕事の9割以上は、もうやらなくていいと思うんですよ」

深津氏が放ったこの一言は、単なる効率化の推奨ではありません。人間による「クラフトマンシップ」の時代が終わり、デザインという職能そのものが再定義される幕開けの合図でした。

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1. AI活用は「手段」から「前提」へ:現在のフェーズを整理する

深津氏にとって、AIはもはや「便利なツール」ではなく、電気や空気と同じ「前提」です。重要なのは「どのAIを使うか」というスペック競争ではなく、「AIが普及した世界で、なお変わらないものは何か」を見抜く視点なわけです。

深津氏によるAI活用の現状

現在、深津氏はワークフローのほぼ全域にAIを組み込んでいます。

  • **リサーチ・思考:** ユーザーリサーチのシナリオ作成、思考の壁打ち、質問票の設計。
  • **データ処理・分析:** インタビュー結果の要約・整形、経営会議用のツール作成。
  • **実制作:** コーディング、プレスリリースの執筆。
  • **具体例:** GPTのDeep Research機能を使い、「2025年時点のトレンドに基づき、ログインのコンバージョンを上げる施策をすべてリストアップさせる」といった活用を日常的に行っています。

「デルのパソコンが速いか、IBMのパソコンが速いか」という機種選びに執着しても意味がないのと同様に、モデル間の微差に注目する時期は終わりました。AIをフル活用し、思考の回転数を最大化することがスタートラインなのです。

2. 「9割の仕事」を捨てる理由:固定されたUIが消える未来

なぜ仕事の9割を捨てていいのか。それは、「この世にすでに答えがある問題」を人間が解く必要がなくなったからです。

ログイン画面やユーザー登録の導線など、スタンダードなUIにはすでに「正解に近い答え」がインターネット上に溢れています。それらをゼロから検討し、ピクセル単位で調整するのは、もはやプロの「仕事」ではなく、個人のこだわりを追求する「趣味」の領域になりつつあります。

さらに衝撃的なのは、「固定されたUIの消失」です。

例えば、カーテンを販売するECサイト。これまではあらかじめ「寸法入力用のUI」を設計していましたが、これからはユーザーが「カーテンを買いたい」と思った瞬間に、AIがその場で最適な入力フォームを生成すればいい。

「あらかじめ全画面を揃えてからローンチする」というこれまでの常識は崩れ、デザイナーの役割は「画面を作る人(ビルダー)」から、「インターネットに前例がない体験を創造する人」へとシフトしていくわけです。

3. デザインの本質:「カオスの最小化」と「認知スキルの統合」

深津氏はデザインの本質を、「場のカオス(無秩序)を最小化すること」と定義します。

具体的には、コントロール不能な要素を排除し、状況を「コントローラブル」に置くことです。

  • **カオスの例:** 16文字入力すべきフィールドに8文字しか入れていないのにエラーが出ない、ボタンの場所がわからない、PCがハングアップする……といった「想定外の事態」。
  • **デザインの役割:** 仕組みと構造を整え、これらの不確実性を発生させないこと。

2027年〜2030年のタイムリミット

AIが人間(デザイナー)よりも賢くなるのは、早くて2027年、遅くとも2030年までには訪れると深津氏は予測しています。この時、デザイナー、エンジニア、プロデューサーといった従来の職種境界は消失し、「認知スキル」という一つのフィールドに統合されます。

「北海道から東京へ来た」「沖縄から東京へ来た」という出身地の違い(ルーツとしての職種)はあっても、全員が「仕組みを構築し、意思決定する」という同じ土俵で戦うことになるのです。

4. 「怠惰の法則」から生まれる究極のAI:問題が発生しない未来

深津氏が提唱する「怠惰の法則(Tai-da no Hosoku)」は、AI時代のプロダクトが生き残るための鉄則です。

「似たようなテクノロジーが複数ある時、最終的に生き残るのは、最も『ダメな人(怠惰な人)』に優しいプロダクトである」という法則です。

プロンプトエンジニアリングを駆使して高い出力を得るような「マメさ」を要求する技術は、大衆化しません。究極のAI体験は、「ユーザーが問題を認識すらしないレベル」で課題を解決します。

  • **具体例:** 朝起きられないという問題に対し、アラームを鳴らす(ユーザーに努力を強いる)のではなく、AIが勝手に「この人は朝が弱いから」と判断し、11時半から会議をセットし直しておく。

ユーザーの背後霊や「スタンド」のように、本人が気づかないうちに障害物をすべて取り除いてくれる存在。これが深津氏の描く「怠惰なAI」の完成系です。

5. AI時代を生き抜くデザイナーの生存戦略

「手が動かせなくなる(スキルが衰える)」という懸念に対し、深津氏は歴史的なアナロジーを用いて反論します。かつてデザイナーは1文字ずつ手書きする「レタリング」を修業しましたが、今はフォントをインストールするだけです。しかし、それによってデザインの質が下がったでしょうか? むしろ逆です。

「打席数」が「目」を養う

AIによって試行錯誤のコストが激減します。

かつて1枚の絵を仕上げるのに8時間かかっていた作業が1時間で終わるようになれば、「意思決定の打席数」は8倍になります。単純作業に費やしていた時間を、A案とB案のどちらが良いかを判断する「アートディレクション」に全振りできる。AIは、学習を高速化させる「教育の高速道路」になるのです。

強力な防衛策:物理空間と身体性

AIが容易に代替できない領域。それは、「物理空間とデジタル空間の高密度な融合」です。

  • **富士山頂でのイベント:** 気候、Wi-Fiの通り具合、酸素濃度……現地に行かなければわからない「現場の課題」は、AIには解けません。
  • **箱根の旅館ブランディング:** 土地の制約や物理的な建物に基づいたデザインは、AIによるリプレイスに対する強力な防衛策になります。

AIには到達できない「身体性を伴う現場判断」を必要とする領域に踏み出すことこそが、これからのデザイナーの生存戦略となるでしょう。

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結論:これからのデザイナーへ贈る3つのマインドセット

2027年から2030年。その変化の波はすぐそこまで来ています。深津氏が私たちに提示したのは、変化への恐れを「本質への解放」へと転換する指針でした。

1. 答えのある仕事はAIに投げ、自分の仕事の9割を「捨てる」勇気を持て

既存のパーツを組み上げる「ビルダー」から、前例のない仕組みを作る「クリエイター」へ。

2. 「怠惰の法則」を極め、ユーザーが問題を認識すらしない体験を志向せよ

高いリテラシーを要求せず、背後で静かに障害を取り除く「スタンド」のようなプロダクトを目指す。

3. 物理空間や前例のないカオスへ飛び込み、AIにはない「現場の判断力」を磨け

画面の中だけで完結せず、五感と身体性を使う領域にこそ、デザイナーの最後の聖域がある。

デザインの手法が「ハンドクラフト」から「ディレクション(意思決定)」へとシフトする中で、あなたの価値は「何を作れるか」ではなく「何を良しとするか」に集約されます。ざわざわする胸騒ぎをそのままに、明日から新しい打席に立ちましょう。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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