令和8年度 中小企業診断士第1次試験「中小企業経営・政策」最速分析:基礎力が合否を分けた一年の総括
2日間にわたる試験、本当にお疲れ様でした!まずは今日まで走り抜けたご自身を、心から褒めて、いたわってあげてください。この難関試験に向けて机に向かい続けた時間は、結果がどうあれ、皆様の人生において何物にも代えがたい財産となります。
公開日時: 2026年8月20日 5:19 · 更新: 2026年9月27日 22:48
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1. はじめに:受験生の皆様へのメッセージ
2日間にわたる試験、本当にお疲れ様でした!まずは今日まで走り抜けたご自身を、心から褒めて、いたわってあげてください。この難関試験に向けて机に向かい続けた時間は、結果がどうあれ、皆様の人生において何物にも代えがたい財産となります。
自己採点を終えて「手応えあり」と感じている方は、休む間もなく2次試験の準備に取り掛かりましょう。わずかでも可能性がある限り、立ち止まってはいけません。一方で、思うような結果が出なかった方も、決して悲観しないでください。今回の分析を糧に、来年に向けて一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
2. 全体傾向分析:Dランク不在、「努力が報われる」試験構成
今年度の「中小企業経営・政策」を一言で表すなら、「基礎を積み上げた人が勝てる年」でした。例年混じっている「誰も解けない捨て問(Dランク)」が影を潜め、学習の密度が得点に直結する内容となっていました。
【難易度ランクの定義】
- **Aランク:** テキストの知識で確実に正解すべき基礎問
- **Bランク:** 合否を分ける標準的な問題(正答率50~70%程度)
- **Cランク:** 知識の細部を問う難問
- **Dランク:** 誰も解けない、いわゆる「捨て問」
【令和8年度 出題構成(全32問)】
- **Aランク(絶対落とせない基礎問):16問(約50%)**
- **Bランク(合否を分ける標準問):13問**
- **Cランク(難問):3問**
特筆すべきは、Dランクが0問であったことです。講義で「ここは大切ですよ」とお伝えした基本事項をどれだけ愚直に守れたか。その姿勢が如実に点数差となって現れた、非常に誠実な試験構成だったと言えるでしょう。
3. 【中小企業経営】の重要トピックと傾向
「経営」パートは、統計データの数値をいかにイメージに落とし込めていたかが鍵でした。講義でもお話しした「業界の肌感覚」が求められる設問が目立ちましたね。
> 中小企業経営の注目ポイント
>
> * 従業員数と付加価値額(第1問): 中小企業が全企業に占める割合だけでなく、従業員数(約70%)と付加価値額(約56%)の正確な数値が問われました。ここは「絶対に落としちゃいけない」Aランク問題です。
> * デジタル化の進展(第8問): 段階別の理解が試されました。デジタイゼーションからデジタライゼーション、そしてDX(ビジネスモデル変革)へのステップ(2→3→1→4の順)を落ち着いて判断できたでしょうか。
> * 価格交渉と価格転嫁(第16問): 昨今のトレンドが直球で出ましたね。発注元との距離、つまり「1次請け、2次請け、3次請け」と階層が下がるにつれて交渉が難しくなる実態をイメージできた方は、正解を導き出せたはずです。
> * 労働生産性と分配率(第9・14問): 小規模企業の労働生産性が大企業の約3割に留まっている現状や、設備投資負担が大きい「宿泊・飲食業」での借入依存度の高さなど、産業の構造を問う良問が見られました。
4. 【中小企業政策】の重要トピックと傾向
「政策」パートでは、私が「絶対に出る」と強調した新制度が次々と的中しました。
- **フリーランス新法(特定受託事業者法):** 1月に施行されたばかりの最重要トピックです。予想通り**3問**も出題されました!一方的な代金決定の禁止など、取引適正化の根幹を問う内容は、実務家としても必須の知識です。
- **事業承継・M&A補助金:** 親族内承継のみならずM&Aも加速する中、**「一定の賃上げ実施」による補助上限の引き上げ**という最新の加点要素が出題されました。
- **中小企業成長加速化計画:** 国が掲げる「100億円企業」へのステップアップを促すメッセージが色濃く反映されました。売上規模(10億円以上100億円未満)の要件は、今後の国策を知る上でも重要です。
- **ものづくり補助金:** ここは将来、診断士として助言する際に最も注意すべき点です。**賃上げ目標未達成時の「補助金全額返還」**という極めて厳しいルールが出題されました。単なる試験対策を超えて、実務における責任の重さを感じさせる設問でしたね。
5. 令和8年度試験 難易度ランク一覧
全32問(小設問含む)の分析結果です。ご自身の自己採点と照らし合わせ、特にAランクでの失点がないか確認してください。
| 設問番号 | ランク | 内容・トピックのポイント |
| :--- | :---: | :--- |
| 第1問 | A | 従業員数(70%)・付加価値額(56%)の割合 |
| 第2問 | B | 小規模企業の業種別割合(卸売業の少なさに注目) |
| 第3問 | B | 小売業の利益率・自己資本比率の傾向 |
| 第4問 | B | 経常利益率の規模別格差(近年は拡大傾向) |
| 第5問 | B | 借入金依存度(宿泊・飲食業が最大) |
| 第6問 | C | 雇用者数の増減(細かい数値判断が必要な難問) |
| 第7問 | B | 開業率・廃業率(厚労省データ、3.9%の推移) |
| 第8問(1) | B | デジタル化の取り組み段階(2→3→1→4の順) |
| 第8問(2) | A | デジタル化の具体的内容(易しい常識問題) |
| 第9問 | B | 労働分配率の傾向(中小は70%超と高水準) |
| 第10問 | C | 売上規模別の企業数(成長加速化に関連) |
| 第11問 | A | 副業・兼業の推移(時代のトレンドを反映) |
| 第12問 | B | 研究開発費の推移(1%を下回る水準) |
| 第13問 | C | 特許出願件数の動向(中堅・中小企業の割合) |
| 第14問 | B | 労働生産性(小規模は大企業の約3割) |
| 第15問(1) | B | 財務分析(有形固定資産・原預金比率) |
| 第15問(2) | B | 手元流動性の推移(コロナ禍以降の上昇) |
| 第16問(1) | A | 価格交渉の現状(受注側からの申し出) |
| 第16問(2) | B | 価格転嫁の実態(請負階層が下がるほど困難) |
| 第17問 | A | ソフトウェア投資比率(大企業を一貫して下回る) |
| 第18問 | A | 製造業の就業者数(全産業増、製造業減の基本) |
| 第19問(1) | A | 中小企業の定義(資本金・従業員数の基本知識) |
| 第19問(2) | B | 中小企業憲章・基本方針(上位レイヤーの考え方) |
| 第20問 | C | 創業関連保証制度(細かい要件設定の難問) |
| 第21問 | A | 事業承継・M&A補助金(賃上げによる上限引き上げ) |
| 第22問(1) | A | 中小企業退職金共済(定義と非課税措置) |
| 第22問(2) | A | 中小企業退職金共済(新規加入時の助成ルール) |
| 第23問 | A | セーフティネット貸付(運転・設備の使途制限なし) |
| 第24問 | B | 雇用推進助成金(年齢要件などの細部知識) |
| 第25問 | A | 海外展開相談支援(専門家の現地同行支援) |
| 第26問 | A | SBIR制度(入札参加機会や特許料の特例) |
| 第27問(1) | A | フリーランス新法(一方的な代金決定の禁止) |
| 第27問(2) | B | フリーランス新法(資本金要件の組み合わせ) |
| 第27問(3) | A | フリーランス新法(従業員要件のスタンダード) |
| 第28問 | A | 成長加速化交付金(売上10億〜100億円の要件) |
| 第29問(1) | A | Go-Tech事業(2社以上の共同体要件) |
| 第29問(2) | B | Go-Tech事業(補助金額4500万円等の細部) |
| 第30問 | B | 投資育成株式会社(エクイティ提供の役割) |
| 第31問(1) | B | 持続化補助金(創業型・インボイス転換の加点) |
| 第31問(2) | A | 小規模事業者の定義(業種別の人数要件) |
| 第32問(1) | A | ものづくり補助金(両立支援・環境改善要件) |
| 第32問(2) | A | ものづくり補助金(賃上げ未達成時の全額返還) |
6. おわりに:中村講師からのエール
私自身、2016年の熊本地震という大きな困難の中で、診断士試験の勉強をスタートさせました。「こんな大変な時に、自分の勉強ばかりしていていいのだろうか」と葛藤した日々は今でも忘れません。しかし、あの時「自分にできることはこれしかない」と信じて一歩を踏み出した経験が、今の私を支えています。
皆様の中にも、仕事や家庭、あるいは社会的な困難の中で、必死に時間を捻出して試験に挑んだ方がたくさんいらっしゃるでしょう。まずは、この過酷な試験に「挑戦するチャンス」を得て、最後まで走り抜いたご自身を誇りに思ってください。世の中には、受けたくても受けられなかった人、悔しい思いをした人がいます。その中で全力を尽くした経験は、結果を超えた価値があります。
中小企業診断士という資格の先には、皆様の力を必要としている経営者が数多く待っています。今回の経験を糧に、皆様が未来の診断士として羽ばたかれる日を、心より楽しみにしています。これからも、皆様の飛躍を全力で応援し続けます!
Full stack 技術者