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政治に「気持ちが湧く」デザインを:チームみらいが仕掛けるUI/UXの革新

これまでの政治資金収支報告書や国会議事録といった公的な情報は、一般の国民にとって非常に高いハードルとなっていました。そこには「見えにくい」「分かりにくい」、そして何より「とっつきにくい」という3つの大きな課題が横たわっています。

公開日時: 2026年7月16日 5:20 · 更新: 2026年9月27日 22:48

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1. イントロダクション:なぜ政治は「とっつきにくい」のか?

これまでの政治資金収支報告書や国会議事録といった公的な情報は、一般の国民にとって非常に高いハードルとなっていました。そこには「見えにくい」「分かりにくい」、そして何より「とっつきにくい」という3つの大きな課題が横たわっています。

私たちシビックテックの開発チーム内で、共通言語となっていたキーワードが「気持ちが湧かない」という感覚です。従来の資料は、まるで「テストの問題用紙」のように無機質な枠と数字が並ぶだけで、それを見てどのような感情を持てばよいのか、どう理解すればよいのかが全く伝わってきませんでした。

日本の国政史上において、政治活動に本格的なデザインの視点を導入することは、極めて稀な試みです。「公開されていること」と「理解できること」の間にある深い溝をデザインの力で埋める。これは、単なる見た目の修正ではなく、国民と政治の距離を再定義する大きな挑戦です。

2. 「未来まる見え政治資金」:家計簿のような親しみやすさを

コンセプトの転換:何っぽく見られたいか

デザイナーとして手を動かし始める前に、私が最も大切にしているのは「何っぽく見られたいか」という定義です。従来の報告書が持つ「テスト用紙」のような、解くべき問題が並んでいるような堅苦しさを払拭するため、日常生活で馴染みのある2つのモチーフをUI(ユーザーインターフェース)に採用しました。それが「家計簿」と「銀行口座」です。政治体験を、私たちの日常の地続きにあるものへとリ・デザインすることが狙いでした。

モモチーフの活用とデザインの意図

  • **サンキーチャート(お金の流れの可視化):**

サイトのトップには、お金の入り口から出口までを一本の図で表した「サンキーチャート」を配置しました。細かな数字の羅列に触れる前に、まずは「これ1枚で全てがわかる」という感覚を提供することで、ユーザーの中に安心感、透明感、そして信頼感を醸成しています。

  • **銀行通帳を意識した明細表示:**

個別の入出金データは、銀行の通帳やアプリの明細リストのような形式でデザインしました。ここにはあえて「校内の機密データ流出事故ではありません」という、テスト用紙というモチーフとも繋がるようなユーモアのある注釈を添えています。真面目すぎるトーンをあえて崩すことで、より軽やかでアクセスしやすい雰囲気を作り上げました。

デザインがもたらす効果

ユーザーが「これなら見たい」と思えるよう、以下の工夫を凝らしています。

  • 時系列での推移をグラフ化し、使い慣れた家計簿アプリのような直感的な操作感を実現。
  • 「他人の財布(政治資金)を覗き見ている」ような感覚を演出することで、情報の透明性を体感として提供。
  • グラフや表の視覚的整理により、専門知識がなくても「何が起きているか」を瞬時に把握可能。

3. 「未来議会」:難解な「文字の壁」をAIで切り崩す

現状の分析:情報の受け取り手を拒む「壁」

法案の原文を読もうとすると、あまりの難解さに「目が滑る」「無の状態になる」といった、情報の受け手側で生じる「文字の壁」が大きな問題となっていました。この心理的障壁をどう崩すかが、デザインの焦点となりました。

革新的な機能「詳しくボタン」と専門知への敬意

ここで私が直面したのは、専門知とアクセシビリティのジレンマでした。政治家や官僚が積み上げてきた法案は、日本の社会を駆動させるための重厚な「専門知の塊」です。分かりやすくするためにその価値を削ぎ落としてしまうのではなく、多層的な情報設計によって両立を目指しました。そこで実装したのが、右上の「詳しくボタン(トグルスイッチ)」です。

  • **専門用語バージョン:** 正確なアーカイブとしての価値を維持し、専門家が精読に耐えうる記述を提供。
  • **優しい言葉バージョン:** AIを活用し、素人にも理解しやすい平易な言葉に翻訳。

この切り替え機能の実装には、デザイナーとして大きな勇気が必要でした。しかし、同じ文章でも「解釈のレイヤーを変えるだけで、気持ちが湧く体験に変わる」という発見こそが、このプロダクトの核心です。特に、アメリカで親しまれている「ELI5(5歳児に説明するように)」というアプローチを導入したことで、難解な法案が自分たちの生活に繋がる物語として立ち上がってくるようになりました。

AIアシスタントのUX:読解を邪魔しない配慮

ユーザーが主体的に法案を読み解くため、AIとの対話もシームレスに設計しました。

> ユーザー体験の劇的な変化:

> * ポップアップ検索: テキストを選択すると「AIに聞く」ボタンが表示され、即座に用語解説を受けられる。

> * 質問例ボタン: 「この法案を一言で教えて」など、質問を考えるハードルを下げるためのガイドを設置。

> * 動的なインターフェース: スクロール中はテキストボックスが小さくなり、読みを邪魔しません。立ち止まった時にだけ大きくなる設計は、ユーザーの読解リズムを最優先した結果です。

4. デザインが政治と国民の距離を縮める

山根の視点から言えば、「公開されていること」と「理解できること」の間には、依然として大きな距離があります。デザインの真の役割は、その隙間を埋めることにあります。

例えば、漢字にルビ(ふりがな)を振るという細かな配慮。これがあるだけで、子供からお年寄りまで、より多くの国民が国会の議論にアクセスできるようになります。「とっつきにくい」という心理的障壁を取り除き、できるだけフレンドリーに情報を開いていく。この微細な積み重ねが、政治を特別な誰かのものではなく、自分たちのものにするための鍵となります。

5. 結論とこれからの展望

本記事で紹介したチームみらいの取り組みのポイントは以下の3点です。

  • **モチーフによる親しみやすさ:** 無機質な情報を、家計簿や通帳といった日常のモチーフに変換し「気持ちが湧く」体験を創出した。
  • **専門知と平易さの両立:** AIを活用した多層的な情報設計により、情報の正確性を保ちつつアクセシビリティを劇的に向上させた。
  • **ユーザーに寄り添う細部:** 動的なUIやルビ振りなど、誰もが政治に参加できるための心理的障壁の徹底した除去。

私たちのプロダクトはまだ発展途上です。完璧を目指すプロセスにおいて、最も重要なのは「ユーザーからのフィードバック」です。

ぜひ、チームみらいの公式YouTubeチャンネルへの登録をお願いします。プロダクトを実際に触ってみて感じたこと、デザインへのご意見など、コメント欄でぜひお聞かせください。あなたの声が、次なるアップデートの糧となり、これからの日本の政治体験を形作っていきます。

唐

唐澤 あきら

Full stack 技術者

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